好きなだけ

人の狂気に惹かれる双子座

初めての遠征先が北海道だったオタクの天国と地獄のことを

 

 

 

 

安心してください、ネタバレしてませんよ!!

ていうか、コンサート内容にまで行き着きませんでした。

 

 

関ジャニ∞の”十五祭”に無事当選して、参戦した筆者ですが、

まぁいかんせん関西・東海のコンサートにしか行ったことがありません。

東京ドーム?なにそれ知らん。

そんな筆者が、どんな運命の導きか北の大地へ行くことに。

遠征なんぞしたことがないオタクが、どんな遠征行程を組むのか。

その先にあるのは天国か、または地獄か。

果たして筆者は無事に村上信五に会うことができるのか。

全米が手に汗握る、スリルとアクションがそこにある。(※当社比)

 

 

 

 

 

 

 

[エピソード0]はじめてのえんせい

 

 

「おめでとうございます!第4希望で当選です。」

そのメールの一文に時が止まったのは2019年5月23日のこと。

当選公演には見慣れない『北海道』『札幌ドーム』の文字。

その瞬間、私には様々なことが脳裏を駆けめぐった。

 

「北海道ということは飛行機……」

「飛行機の手配………」

「ていうか、そもそも友人は来てくれるのか………」

「えっ……飛行機を最後に乗ったのいつだっけ…………」

「かかる費用ってどれくらいになるんや…………」

 

当選したにもかかわらず、大きく動揺しまくっていた。

当選した喜びに震えるのではなく、私の財布と通帳がガタガタ震えていた。

そして、それは友人も同様だった。動揺だけに。やかましいわ。

 

友人「ほ、北海道がな~~……」

友人「わたくし、7月お休みが貰えるかが……」

 

そもそも、7月自体が厳しいという状況だった。

私は友人に「行けるかどうかの判断はいつ下せるか」と尋ねてみたが、「6月のシフトが出てからなので~」とギリギリだった。

・ギリギリまで友人を待ち、最悪の場合ソロ参戦をする

・友人には辞退してもらい、私は他の人を誘う

という二択に迫られた私たちは、

「北海道に行きたいか~~~??!!!!!」

「行きてえに決まってるだろうが」

というC&Rで心を固め、互いの健闘を祈った。

彼女には前回のコンサートで、私の勝手な都合により大阪参戦を辞退させたので、どうしても今回は彼女と当選した分を共に過ごしたかった。

それはただの自己満足で、何の罪滅ぼしにもならないが私の決意は固かった。

そんなことをモヤモヤ考えていた私に、友人はしみじみとした文面で、

「あ~~~~~~~~~~当たってよかった~~~~~~~~~~~~~~~~~」

と、LINEを送った。

 

そういえばそうやん????????

15周年記念コンサートですよ??????????????

当たって奇跡ですよ???????????????????????

 

不安を文章化し、一通り話し合ったあとにやってきた歓喜の感情に私の手はワナワナと震えた。真顔です。

今年の夏も、日本一大切なアイドルと会える。

8月の全てを捧げたいグループに会える。

いてもたってもいられない大きな感情に私は胸がいっぱいになった。

 

まだまだ不安要素は山積みだけど、今年は関ジャニ∞に絶対会おうと約束し、友人とはLINEを置いた。

しかし、それが私たちの「北海道☆恐怖のチキチキレース」の幕開けになるとは、このときの私は予想だにしていなかったのだ────。

 

 

 

[エピソード1]試される大地

 

 

時は流れて6月22日、友人から「北海道に飛びます」とLINEが届いた。

それすなわち、一緒に参戦できるということ。

しかし、条件があった。

「(夜勤)明け、休みで良ければ北海道に飛びます」

14日のコンサート当日が友人の夜勤明け。

職場から空港に到着予定は昼前。

私たちは関西圏の人間なので、そこから飛行機で北海道に向かう。

コンサート開演は16時。

私の頭の中でゴングが鳴り響いた。

 

取り急ぎ、ホテルと飛行機の手配をどっちが行い、ホテルの条件について確認した。

・私がホテル手配を担当し、友人が飛行機の手配。

・飛行機は友人のシフトが確定した25日におさえる。

という役割分担をしたのだが、まあ~~~~~遠征ベテランの皆さんもう笑っておられるのでは????

 

「ど こ の ホ テ ル も 埋 ま っ て る」

そして、もしや…と思い調べた飛行機の空き状況と値段。

「ど こ の 飛 行 機 も 埋 ま っ て る」

「値 段 バ カ か よ」 ※バカなのは私の危機管理能力です。

 

あまりにも想像の遙か上を越える安いホテルの満室っぷりと、飛行機の埋まりっぷりに私のスマホを持つ手はみるみる冷えていった。

チケットを入手しても、関西から発つ手段がなければドームには行けないし、北海道で泊まる場所がなければ文字通り2019年現代において路頭に迷う。

「もしかして我々はヤバいのでは???」

と、焦りに焦った私は友人の「25日まで待ってね」という言葉を振り切って、空いているお高めなホテルとゲリヤバモリモリ高の飛行機を予約した。

ちなみに友人は職場に相当無理を言ってシフトを変更したため、満身創痍になっていた。

「ごめんね」「こちらこそごめんね」と、互いを慰め励まし合いながら両者ともに「遠征ってこんなに金がかかんのか……」という事実に目が死んだ。

マジのこと言うと、飛行機代が片道3万円超えていた。

移動費と宿泊費がどえらいことになったので、北海道の旅は節約することを話し合い、二人で直接会う時間も設けて北海道への綿密な旅行程を組んだ。

 

征初心者がやらかした失敗と未来の遠征初心者への言葉。

~飛行機とホテルの予約は早い内にやっておけ~

 

 

 

[エピソード2]ついに開幕!!北海道☆恐怖のチキチキレース!!!!!

 

 

7月14日 9:30

私は神戸空港のロビーにいた。

ワクワクするとか、もうすぐ会える、という浮ついた感情は1㎜もなかった。

あるのは、「開演までにドームに到着する」という明確な目標と、アドレナリンだけだった。

夜勤を無事に終えた友人から「11:08着でいけそう!」とLINEが届く。

予約した飛行機は、【新神戸 12:15→新千歳 14:10】。

新千歳に着いてからのルートは、

①空港からドームへのシャトルバス

②JRを使って札幌まで出る→(1)バス(2)電車(3)タクシー

③空港から高速使ってタクシー

というルート分岐を用意して、その時の混雑具合で判断する。

そもそも飛行機が遅れたら、開演時間には間に合わない。

幸いにも、今のところ利用する飛行機会社に遅れや休止の知らせはない。

飛行機に慣れていない私にとって、長時間待たせたり運行休止する飛行機は信用するに値しない乗り物だが(失礼)、このレースの勝敗は飛行機にかかっていた。

武者震いが止まらない内に友人と合流し、これからの旅の無事を互いに祈って私たちは飛行機に乗り込んだ。

 

しかし、そんな祈りも虚しく、着を待つ間の機内に流れたアナウンスは、

『ただいま、滑走路の待機時間のため15分遅れでの離陸を予定しています』というものだった。

 

「やってやるよ………」

 

私はこの日明確に、己の『戦闘本能』を自覚した

(※アイドルのコンサートに遠征するだけです)

 

久しぶりの飛行機は楽しかった。

優しいCAさんからコーヒーやチョコレートをもらい、様々なGを体感しながら空を飛んでいる感覚を味わうのは非日常的だった。

周囲にはちらほら関ジャニ∞のライブTシャツを着用している人がいて、なんだか心強かった。

これからの大移動を控えて、私たちは短い睡眠を取った。

 

『皆さまのご協力いただき、当機は予定より5分早くの到着となりました』

我々の様々なのが試される大地に着陸後、予期せぬ嬉しいアナウンスが流れた。

にわか機内が活気づく。「ほんま遅れなくて良かった…」という私の呟きに、周囲の何人かが黙って頷いたという。(友人談)

しかし、これからが本番であり勝負である。

 

youtu.be

 マリンバ3重奏「ぬいぐるみたちの天国と地獄」 嶋崎雄斗

 

 

私たちは大きな荷物を抱えて、新千歳空港のバスロータリーを走った。

新千歳空港から札幌ドームへ向かうシャトルバスのバス停は2カ所あり、

ANA到着口前の22番のりば

JAL到着口前の14番のりば

のうち、22番のりばが始発なのだ。22番のりばに並んでいれば、ある程度の人が並んでいても座れるとのこと。

私たちは行列の成す14番のりばを尻目に、22番のりばへ走った。

しかし、現実は甘くない。

22番のりばには、想像以上の大行列だった。100人はくだらない。

シャトルバスの長く、警備員のおっちゃんが「次のバスは40分後です!」と叫んでいる。

並ぶべきか一寸悩んだ私に、友人は「JRで行こうか」と声をかけてくれた。

そうだ、グズグズしている暇はない。

立ち止まっている時間なんてない。

私たちは急ぎ来た道を戻ってJRへ乗り換えた。

新千歳空港 14:30→札幌 15:07 JR快速エアポート小樽行き

この電車に飛び乗り、私たちは札幌に向かった。

電車内で、地下鉄「さっぽろ」から最寄りの「福住」からドームまで徒歩15分以上かかるとのことなので、札幌到着後はタクシーを使用することにした。

しかし札幌駅に到着後、タクシーロータリはまたもや行列が形成されていた。

「もう勘弁してくれ~~!!!!」と、思わず叫んだが予想よりもタクシーはガンガン並び、あっという間に自分たちの番が来た。

「あのピンクのタクシーがいいなぁ」「可愛いなぁ」

と、思っていたピンクのタクシーが自分たちの目の前に滑り込んできた。

気さくで親切そうな運転手のおっちゃんが、「札幌ドームまで」と私たちが告げるやいなや「こっちの道は混んでいるから、別の道から行きますね~」とハンドルをきり、スイスイと行列をかいくぐっていく。

たくさんのタクシーを抜き去る、無理のないかつスマートな車線変更。

グイグイ来ないけれども、こちらの話題振りには愛想良く返してくれる。

ここに来て、幸運の女神が舞い降りたと感じた。

そしておっちゃんいわく、このピンクのタクシーは札幌市内に25~15台くらいしかないらしい。

「このタクシーに乗れたら、良縁の運気が上がるよ」と教えられ、私たちは「じゃあ今日はいい席当たるぞ~」と呑気にゲラゲラ笑った。

ところが、あともう少しでドームが見えてくるあたりで車の流れが完全に止まった。

夏休みに入ったとはいえ、こんなに渋滞になるものなの…?と、ビビりだす私たちにおっちゃんは、「なんでこんなに渋滞になるのか思ったら、今日お神輿の日でしたわ」と告げた。

-女神様がログアウトしました。-

左車線で優美に練り歩くお神輿の姿。半被を着た子ども達。

夢みたいに綺麗な光景。

いや、夢ちゃうんかい。

「いやぁ~!!ええもん見れた!!!!!!!!!」

「ほんまや縁起がええど!!!!!!!!」

私たちはやけくそに叫んだ。

祈るように時計を見つめ、おっちゃんの運転技術に全てをゆだねた。

「嵐のときは本当にすごかった」「札幌でおすすめの味噌ラーメンは…」等と、ソワソワする私たちをなだめるような穏やかな口調で全力疾走するタクシーのおっちゃん。幸運の女神様からタクシーのおっちゃんへ担替えです。

そしてなんとか、15:50を少し過ぎたところで私たちはドームの駐車場に到着した。

「ほんまにありがとう!!!!」「ほんまにありがとう!!!!」と、あらん限りの声で感謝を伝え、私たちは浮き足だった足で駆け出した。

 

もうすぐで入場できる!!!

でも、もうすぐ開演する!!!

20代後半女2名、走った!!!!

走った!!!!

走った走った!!!!!

はし……!!!!

は…………………!!

 

北ゲート遠くね???????????

 

事前に知っていたし、覚悟はしていたけど思ったより遠いぞ北ゲート。

大きな荷物が肩に食い込む。

幟の関ジャニ∞が可愛い。

無理。

写真撮りたい。

無理。

普段の運動不足が祟って、足が上がらない。

しかし無情にも階段が目の前にそびえる。

上りきったと思ったら、先の見えないトンネル。

走った。

走って走って、

途中警備員のおじさんに注意された。

走って走って走って走った。

肩痛い。

なんかドームから歓声が聞こえる。

まじすか。

焦る。

走る。

北ゲートを抜けたとき、スタッフのおねえさんたちが「がんばって!」「急いで!」とエールを送ってくれた。

暗いドームの通路を早足で抜ける。

場所が分からなくてスタッフのおにいさんに光の速さで確認しに行く。

階段を抜ける。

目の前が開けた。

ステージだ。

大きな大きなステージだ。

なんとか座席に到着する。

大型のモニターには、開演までのカウントダウンが表示されていた。

 

『00:02:50』

 

間に合った。

間に合ったぞ。

 

友よ、今日なにかひとつでもボタンをかけ間違えたら、私たちはこの場に来れなかったのかもしれない。

ここまでの過程は、決して優雅で快適な北海道旅行ではない。

でも、私たちは確実に素敵な縁と運に恵まれた旅をしたのかもしれない。

 

ログアウトしたはずの幸運の女神様がサムズアップする姿を想い、

十五祭はついに私たちの到着を待って開幕した。